北摂にて

日々の暮らしの中に楽しみを見つけながら・・・

母覚醒?

父が亡くなった。今は四十九日に向けて兄と兄嫁、弟、私で手分けして準備中だ。老人介護の仕事の経験者である弟嫁はもっぱら認知症が進んできた母の相手をしてくれている。と言っても、嫁には頼みたくない?頼めない?ことは、私に回ってくる。例えば、髪を少し切って染めてほしいというようなことだ。私はヘアカットのプロではないし母は文句の多い人なので、本当は美容院へ行ってほしいのだけれど、どうやら物忘れがひどくなってきたという自覚があるらしく、あれこれ理由をつけて行きたがらない。

 

一時期、母は嫉妬妄想が激しかったけれど、それはほとんどなくなった。まあ、もう父は亡くなってしまったのだから嫉妬してもしょうがない。でも、認知症は進んでいるから、たまに父が亡くなったことを忘れているのでは?と思うこともある。

 

そんな母と相談しながら、先日お位牌の注文をすることになった。

このMacbookでお仏壇のサイトを一緒に見て、黒の塗りがいいよね、台座のデザインはどれにする? この金は上品な色よね、金沢産の金箔だって、などと言いながら⋯。

 

すると途中で「もう少しいいのにしてくれとお父さんが言っている」と母。

「じゃあこれ?」と私。

「もうちょっと違うのを見せてとお父さんが言っている」

「こっち?」

「それは高すぎるって」

 

この会話は何?(笑

 

私が結婚して家を離れてからだけれど、母は亡くなった人やある観音様の声が聞こえるようになったらしい。信じる人もいれば信じない人もいるだろう。私は、そうなのかもしれないし、それこそ妄想かもしれないと思っていたけれど、今回は本当に父と会話をしているように思えた。と言うのも、「これ?」「こっち?」と何度も聞いていたら「疲れたから、また後にしてくれとお父さんが言っている」と母が言ったのだ。すっごいリアルじゃないか。

 

 

こういうことを、これまで書いていいものかと迷っていたけれど(これまでも「こういうこと」は何度もあった)、今は母が認知症だからこそ、覚醒していると思う瞬間があって⋯⋯。1時間も経たないうちに忘れてしまうことが、またリアルに思えるわけで⋯⋯。